歌い手の「他者との違い」

2012.02.18

カラオケがここまで広く日本人の間に広まった背景は一体何だったのだろうか。八〇年代の日本社会に起きたある現象を視野に入れてみよう。それは「自己表現」への、人々の過剰ともいえるまでの関心の高まりである。それを「自己表現ブーム」と呼ぶことにする。カラオケには、CDやラジオ、コンサートといった他の音楽消費形態にはない際だった特徴がある。きわめて「能動的」である点だ。CDにせよラジオにせよコンサートにせよ、
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医療者の務め

2012.02.08

ある日の夜勤で、境界性人格障害の女性と話している時のことです。私は人間が生きていくためには、自分の存在を肯定することが大切であり、人間関係が成立するのは、相手の存在を認めるからなのだということを改めて実感しました。境界性人格障害とは、前述したように強い衝動性と慢性的な抑うつ、対人関係の困難などを生じる人格障害。アイデンティティが混乱しており、見捨てられるのではという恐怖が強く、人をひきつけるために
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経験が医学的真理への有力な導き手となる

2012.02.06

東洋医学的治療が多く薬効の客観的な評価を行われている場面は抗生剤や外科療法の適応ではない、浮き沈みが多く自然経過の複雑な、個体の反応のバラツキの多い、そして心理的影響を受けやすい慢性病の分野なのですから、よほど評価の仕組みをガッシリと組み立ててかからないと、その効用を買いかぶり、最貝の引き倒しになりやすいでしょう。実験とともに、経験が医学的真理への有力な導き手であります。実際、アスピリンはギリシヤ
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夏の想い

2012.02.05

昭和56年の夏、私はまだ29歳だった。5月に次男が生まれていたが、マイホームパパの役がどうしても演じられず、病院の勤務が終わると毎日のように近所のスナックで酒を飲んでいた。ある日、内科の医局会議で長老の医長が、「厚生省からカンボジア難民救済医療団への医師派遣の要請が病院に来ているが、誰か志願する者はないか」と、言った。20数名の医局員たちの間に一瞬どよめきが起こったが、誰も手を挙げる者はいなかった
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独特なわびしさの秘密がある

2012.02.01

1922年(大正11年)というと日本でラジオ放送が始まった年ですが、この年♪「会いたさ見たさにこわさも忘れ、暗い夜道をただ一人」((龍の鳥))というヨナ抜き短調のイケナイ歌がまず関西でヒット、しだいに流行の輪を全国に広げ、25年には「曲の持つ哀感が受けて全国を風扉した」(『日本のうだ』第1集、解説)のだそうです。長調がドを第1音とするのに対して短調はラから始まりますから、長調のヨナ抜きはファとシを
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ストレス発散に外食はよい

2012.02.03

ふだん外食しない人であれば、たまの外食はストレス発散にもなりますし、おつき合いにも大切なことです。毎日ダイエットに努力しているなら、たまには外食して思いっきりおいしいものを食べることで、また明日からの励みになります。そんなときには、何を食べてもかまいません。問題は、仕事やつきあいの関係で毎日のように外食を余儀なくされている人です。そんな人が外食するとき必ず実行したいのが、「残す」テクニックです。ま
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欧米食で日本人の病気も欧米化した

2012.02.23

私たち日本人を取り巻く環境は戦後五〇年近くの間に、とくに食文化を中心に劇的な変化をとげました。それまでの日本人は、ほとんど島国・日本のこの土地で作られ採れた物を食べて生きてきました。作物や食物も日本の環境に順応したものを伝統的に作り、自然とほど良く付き合って長生きしてきた民族です。ところが戦後、一九四五年の敗戦を経て世界の中の日本となることによって、さまざまな文明・文化を受け入れざるを得なくなりま
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平等による不平等の矛盾

2012.02.17

社会全体で見た場合の労働者の幸福度を考えてみれば、一昔前の護送船団方式や年功序列方式の方が良かったのかもしれない。私は社会主義者ではないが、八〇年代の後半に社会人になった頃を回想してみると、当時は日本的経営スタイルの目指すところと一般個人における居心地の良さとの乖離は少なかったように思う。両者における摩擦がなければ、このままで良いと人々は思っていただろう。いや、心地良い環境にいればそうした問題意識
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